熱海温泉探訪記 (5) 中央町飲食街<前編>

日本を代表する温泉街「熱海」の最もDEEPな場所と言えば、市街地の中心を流れる「糸川」下流の両岸にある「中央町」「渚町」の界隈に集約される。

毎年1月から2月にかけて糸川沿いにピンク色の鮮やかな花を咲かせる「熱海桜」が街を彩るこの界隈は、昭和33年に売春防止法施行によって閉鎖されるまで営業していた赤線の痕跡がそこかしこに残る中、温泉街の夜の顔として長年時を刻み続けた場所だ。

今では居酒屋や小料理屋、スナックなどがびっしりと軒を連ねている糸川沿い。

夜の街は早朝訪れるとやけに静かなものである。

ちょうど熱海桜の開花時期で川沿いでは祭の準備のためにテントの設営などを行う地元民の姿が目立っていた。

川沿いに一軒の魚屋がぽつんと建っている。魚屋にしては珍しく早朝からシャッターが降りたままになっているのだが、周辺の飲食店が常連客だからだろうか。

でも夜に再びやってくると、煌々と明かりが照らされた魚屋の表にたっぷりと魚介類が陳列されていた。しかも何故かサメがいる。誰が食うんだろう。

飲食店街は熱海銀座商店街のすぐ西側から広がっている。古いバラック建築が多く、どこを見ても雰囲気がすこぶる濃ゆい。

背後には「ニューフジヤホテル」の古くて巨大な建物がそびえる。この界隈も昔はもっと観光客だらけだったんだろうか。

中央町の路地に入ると、独特の赤線建築もさることながら、ビルの一つ一つも妙に古臭い個性を放っていていちいち反応させられる。いまどきパブスナック「スーパーマン」かよ。やはり熱海の時間軸は数段ズレている。

タイムスリップしたかのような路地裏を通り抜ける。人どころか野良猫一匹出てこないゴーストタウンっぷりを見せる熱海の飲食街。

路地を抜けると、またしても外観の怪しげな中華料理屋が現れる。きっと夜になると営業しているはずだろう。

熱海市内、至る所の家の玄関に貼られた「ここににげておいで」ステッカーがシュールである。ヤクザや酔っぱらいに絡まれた時もここに逃げて来ればいいんでしょうか。

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糸川に沿って海岸まで下っていくと、渚町に近づくにつれて雰囲気がどんどんいかがわしくなる。玄関がボロボロのスナック。営業しているのか廃墟なのかわからない。

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しかしその建物の柱にはびっしりとタイルが敷き詰められていた。赤線建築の大きな特徴だ。建物も古いので、かつて「現役」だったものに違いない。

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海岸寄りの渚町に入ると途端に風俗街に変わる。言うまでもなくファッションヘルスやら無料案内所やら、そのテの店しか無かったりするので露骨なのね。これが温泉街の真髄である。

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だけど、こういう怪しい街に限ってピースボートのポスター率がやけに高いのは気のせいだけではないような。
伊達にピンクボートとは呼ばれてないぜ。

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