熱海温泉探訪記 (8) 熱海の風俗街・渚町<前編>

熱海のDEEPで見逃してはならないのは、何も中央町の遊郭建築だけではない。
いくら斜陽だのゴーストタウンだの言われても、なにせ日本を代表する大温泉街だけの事はあって、怪しい街並みを残す場所がぎっしり詰まっている場所がある。

海岸沿いに広がる「熱海市渚町」の一帯だ。

熱海銀座商店街を通り過ぎて国道135号海岸通りを渡った先が渚町である。
この一帯は赤線が無くなった後も熱海で一番の風俗街として、もっぱら夜の顔に徹してきた。
南北に長い渚町の区画の中央を走る商店街の両側に、これ見よがしな風俗店が乱立している。

早速いかがわしい風俗ビルが現れた。4階建ての古い雑居ビルには古いスナックに混じってファッションヘルス店が看板を掲げている。

1階には案内所もあるようだが店は開いていない。昼間だったが2階にあるヘルス店は堂々と営業中だった。よく見たら朝の10時からやっているようだが、店に入るような客の姿も見かけない。

夜になっても相変わらず寂しい限り。こういう場所では夜遊びのエロオヤジ集団がうろついていそうなものだが、それどころか客引きのボーイすら居ない奇妙な風俗街である。

いかがわしい店に混じって普通の民家や店も並んでいる。よく見ると1階の壁にいろんな貝殻が埋め込まれているのが変わっている。きっと以前は小料理屋か何かだったんだろうな。

その隣には「うきうきハート」である。雰囲気からしてうきうきするような場所でもないのだが、どうしようもなく寂れきった渚町の風景に別の意味でうきうきしている日本DEEP案内取材班。

渚町は地味にコリアタウンでもあるようで、糸川を挟んだ南側に入ると、風俗店に混じって韓国料理店や韓国系スナック、焼肉屋などがちらほら建っている。

だがこの辺のスナックも店を閉めてしまった所が目立つ。リアルタイムで閉店を知らせる張り紙が貼られている様子を見ても、衰退ぶりの激しさを思い知らされる。ここまで来ると熱海駅から徒歩で来るには少しきつい距離で、場所柄厳しいのかも知れない。

そして、渚町で特に見所なのが糸川と初川に挟まれた一帯のバラック居酒屋群。
新宿ゴールデン街顔負けの風景が見られる、熱海随一のアンダーグラウンドゾーンなのだ。

とはいえかつての面影を留める飲食店街の多くは店じまいをして普通の民家に変わっている所も多い。

この渚町のバラック居酒屋街、元は「青線地帯」だった場所だ。

中央町の赤線が廃止された昭和33年以降も、この界隈を中心に所謂「ちょんの間」が形成され、ひっそりと熱海を訪れる男衆の中で知れていた存在だったわけだが、現在はものの見事に営業していない。

怪しさ満点な二つ扉にテント張りで隠された玄関の建物。建設会社の名前が書かれているが、以前どういう使われ方をしてきたのかを、その店構えで勝手に想像をめぐらせてしまいそうになる。

昔は元青線、そして今は場末のスナック街。
「夜の熱海の社交場」であることは昔も今も変わらないようである。

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