【あの現場は今】関越道バス事故を起こした千葉県印西市のバス会社「陸援隊」のコンテナ合体ビル

一目見て衝撃的過ぎる建築物だ。4階建てのビルは、港でよく見かけるあのコンテナを器用に繋ぎ合わせて一つの建物として利用している。配管や電気の取り回しも含めて全部DIYなんだろうな。ある意味感心させられるが、違法建築にはあたらないのだろうか。

陸援隊

これは千葉県印西市(旧本埜村)にある「陸援隊」というバス会社の建物だ。針生エクスプレスという名称も見られるが、これは前の社名である。両方の社名を併用している事もあって紛らわしい。


当初は外国人観光客向けの団体バスを中心に運行していたが東日本大震災以降の外国人観光客の減少で、夜行長距離バス事業の下請け業者としてバスを運行するようになった最中、2012年4月29日、関越道藤岡ジャンクション付近で居眠り事故を起こして死者7人を出した事でバス会社としての運営は不可能になった。

事故を起こしたバスの運行を企画したのは大阪府豊中市にあった「ハーベストホールディングス」で、ここが楽天トラベルなどで販売していた金沢・高岡発、新宿駅・東京駅経由TDL行き長距離夜行バスの運行を下請けする形で陸援隊がバスを出していた。

折しもGW中にあって事故に遭ったバスは増発便として運行されたもので、通常は交代要員の必要性を考慮して運転手は最低でも2人付けなければならない所を、中国残留孤児の子弟で日本語も不得手な帰化人にたった1人で運転させていた。この杜撰な管理体制がバス事故を引き起こした主な要因になっている。

高速ツアーバス乗務員は語る 家族は乗せたくない!

減速なしで高速道路の防音壁に激突しバスの車体がめり込んだ防音壁でほぼ真っ二つになるなど、事故の状況は惨憺たるものであった。大破したバスのうち損傷の酷い前方左側座席の乗客が多く犠牲となり、格安バス業界において単独のバス事故として「7人死亡」という結果は過去最悪のものとなった。

だが最も本質的な問題は、人気の格安夜行長距離バスに対するリスクを利用者側があまりに把握できていない事ではないか。このバス事故を起こした陸援隊だって、発注元のハーベストホールディングスとの間に2つも業者が挟まっていて、それだけ中間マージンが抜かれた上に、陸援隊は赤字ギリギリの往復15万円でこの仕事を受注していたのだ。

規制緩和のおかげでお安く旅行が出来るようになったと喜ぶ一方で、その裏側ではコスト削減を正義に現場のとんでもない安全意識の欠如が起きている。ツアー会社とバス会社が別々で責任の所在が曖昧になりがちな事もあり、2013年8月から高速ツアーバス制度は廃止、厳しい安全基準が適用される事になった。

VR動画

安全のためのコストが増えた事で運賃の値上げに踏み切ったり、バス事業自体を辞める業者もいて、バス会社の数も従来の半分以下になるそうだ。盆休みシーズンを前にこれまで高速ツアーバスで田舎に帰っていた客も、バスの予約が取れなくなる事態が予想されている。
陸援隊

利用者側も「他人に命を預ける」という意識をどこかに持っていたなら、こんな危うい激安バスなどに乗ろうとは思うまい。だいたいこんなコンテナを合体させただけのあばら屋のような事務所でやってるような会社のバスになんか乗りたくはないよな。
結局陸援隊もハーベストホールディングスも破産したけどさ。

規制緩和という悪夢 (文春文庫)

スポンサーリンク